受動態の文(2種類の受動態)
前回は「byを使わない受動態」の解説をしました。今回は「2種類の受動態」というお話をします。
前回の復習
「by 〜」というのは「〜によって」と『誰によってされたのか』を説明するために入れてあげます。普通の受動態ではこれを文の後ろにつけてあげますが、入れる必要がない場合は省略します。その場合というのが
『言わなくても誰にされるのか分かる場合』
次のような文はよく出てきますので確認してください。
例1)
能動態:They speak English in America.
(彼らはアメリカで英語を話します)
↓
受動態:English is spoken in America.
(英語はアメリカで話されています)
* アメリカで英語を話しているのは「アメリカにいる人たち」だと言わなくても分かるから。
*「spoken」は「speak」の過去分詞
例2)
能動態:They open the shop at eight.
(彼らは8時にお店を開けます)
↓
受動態:The shop is opened at eight.
(お店は8時に開けられます)
* お店を開けるのは「お店の人」だと言わなくても分かるから。
例3)
能動態:We see stars at night.
(私達は夜に星を見ます)
↓
受動態:Stars are seen at night.
(星は夜に見られます)
* 星は限られた人だけでなく、誰でも見れるものなので言わなくても分かるから。
*「seen」は「see」の過去分詞
2つの目的語
それでは今回は2種類の受動態ができる文というのを説明していくよ。
はい。2種類の受動態ってどういうことなんですか?
まず思い出してもらいたいんだけど、能動態という普通の言い方の文を受動態にするときに、何を主語にして文を作ったかな?
はい、能動態の目的語を主語にしました。
そうだよね。そうなると、もし能動態の文に目的語が2つあったら受動態も2種類できると思わない?
あぁ、なるほど。そういうことですか。でも目的語が2つも入る文なんてあるんですか?
あるよ。まずはそこから確認していく必要があるよね。次の文をみてくれるかな。
My father gave me a present.
この文はどんな意味になる?
「私の父は私にプレゼントをくれました」
そうだね。この中の「私に」と「プレゼントを」というのが両方とも目的語になっているんだよ
目的語って「〜を」という意味になるものじゃないんですか?
「〜を」となるのはもちろん目的語だけど「〜に」となるものも目的語なんだよ。
この例文の場合でいえば動詞は「あげました」だよね。「誰に」あげたのか「何を」あげたのかということがどちらも「あげました」の目的語になっているよね。
だから目的語というのは「〜に」と「〜を」の2つと覚えておくといいよ。
そうなんですか、分かりました。
2種類の受動態
目的語が2つある場合があるということは分かりました。そうなると、この2つの目的語を主語にして受動態を作るってことですよね。
そうだよ。それじゃ次にその話をしていくね。さっきの文をもう一度みてみよう。
My father gave me a present.
この文の目的語が「me」(私に)と「a present」(プレゼントを)の2つだということはいいでしょう。そうなると、それぞれの単語を主語にして受動態を作っていけばいいので一つずつ見ていくよ。最初は「me」を主語にした場合の受動態を考えてみよう。
- 1 「me」は主語にできる形(格)ではないから“I”に変える。
- 2 次は「be動詞 + 過去分詞」なので能動態の文(元の文)が過去形だったので“was given”を続ける。
- 3 次がポイントで過去分詞の後ろには『もう一つの目的語』“a present”を入れる。
- 4 最後は“by my father”を入れて終了。文にしてみるよ。
I was given a present by my father.
(私はお父さんにプレゼントをもらいました)
なるほど、分かりました。でも一つ質問があるんですが、「プレゼントを与えられました」じゃだめなんですか?
まぁ、確かに受動態は「〜される」となるのが基本なのでそうも考えられるよ。
でも「プレゼントを与えられました」というと、なんか嫌がっているみたいだよね。だからこの場合は上のような「もらいました」の方がいいね。
あぁ、そう考えるんですか。それじゃもう一つの文はどうなりますか。
うん、もう一つだね。今度は「a present」を主語にした文だよね。これも上と同じように考えていけばいいんだよ。ポイントは
「もう一つの目的語を過去分詞の後ろに入れる」ということ。これはどうなるかちょっと考えてごらん。
はい、最初は主語だから「a present」が主語になって、
次に「be動詞 + 過去分詞」だから「was given」で
次が「もう一つの目的語」だからこれは「me」がきて、
最後は「by my father」となって「A present was given me by my father.」でいいんですか。
そう、それでいいよ。ただし、「me」という「〜に」という目的語が過去分詞の後ろにくる場合は「to me」というように前置詞の「to」も入れられるので
「A present was given to me by my father.」という言い方もできるんだよ。でもこの「to」は省略することもできるからね。テストではぼう線やカッコが与えられていてこの「to」を入れないと数が合わなくなってしまう時以外は考えなくてもいいよ。
分かりました。
目的語が2つある文の受動態の作り方
今回の内容は受動態を2種類作ることができるというお話でした。
以前に解説しましたが、受動態というのは能動態(いわゆる普通の文)の目的語を主語にして文を作り変えていくものです。
ということは能動態の文に目的語が2つある(このようなパターンになる文をS V O Oの第4文型といいます)場合は2種類の受動態をつくることができることになります。
第4文型の受動態のポイント
目的語が2つある第4文型の文を受動態にする場合のポイントは、片方の目的語を主語にしたら、残った目的語をどこに入れるのかということです。これは上でも解説していますが、
『もう一つの目的語は過去分詞の後ろに入れる』
ということになります。例文でもう一度確認してみましょう。
例)
She showed me a picture.
(彼女は私に写真を見せてくれました)
この文は2つの目的語を持つ第4文型の文です。「私に」の“me”「写真を」の“a picture”がその目的語になります。これらの2つの目的語をそれぞれ主語にして受動態を作ることができます。それでは作ってみましょう。
1.「me」を主語にした受動態
I was shown a picture by her.
(私は彼女に写真を見せてもらいました)
まずは「me」は目的格なので「I」にします。次に「be動詞 + 過去分詞」なので「was showed」を続けます。この時に能動態の文が過去形だということに注意して、be動詞も過去形にすることを忘れないように。
次が一番のポイントで、ここで主語にしなかった方の目的語「a picture」を過去分詞の後ろに入れます。最後は「by her」でおしまいです。
2.「a picture」を主語にした受動態
A picture was shown (to) me by her.
(写真は彼女によって私に見せられました)
今度は「a picture」を主語にした場合です。最初は主語にする「a picture」を書きます。次に「be動詞 + 過去分詞」で「was showed」を続けます。
次がポイントで主語にしなかった方の目的語「me」を過去分詞の後ろに入れます。(「to me」も可)最後は「by her」でおしまいです。大丈夫そうでしょうか。
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